「簿記2級を取ると、実際の仕事で役に立つのだろうか」
簿記を勉強していると、一度はそんな疑問を持つのではないでしょうか。
私自身、30代後半で営業職から事務職へ異動する前に、日商簿記3級、そして2級を取得しました。
もともと営業職でのキャリアに行き詰まりを感じ、今後のキャリアについて考えるようになったことが、簿記の勉強を始めたきっかけです。
その後、現在の会社で経営管理部へ異動し、半年ほど経理の仕事を経験しました。
簿記を勉強しているときには分からなかったのですが、実際に仕事をしてみると、「勉強しておいて良かった」と感じる場面がいくつかありました。
一方で、実務に入ってみて「簿記の教科書通りにはいかない」と感じることもありました。
今回は、私が実際に経理の仕事を経験して感じた、簿記2級が仕事で役立ったことと、資格取得後に感じたギャップについて書いてみます。
簿記2級を取得して実務で役立ったこと
1.会計システムへの入力で勘定科目を考えやすかった
経理の仕事を始めて、最初に簿記の知識が役立ったと感じたのが、会計システムへの入力です。
実務では、日々さまざまな取引を会計システムへ入力していきます。
そのときに出てくるのが、
「この取引はどの勘定科目になるのか」
という問題です。
もちろん、実際の会社では過去の処理や社内ルールを確認する必要があります。
それでも簿記を勉強していたことで、
「これは費用として考えるものなのか」
「資産に関係するものなのか」
「この取引はどういう性質なのか」
といった基本的な考え方を持つことができました。
簿記を全く知らない状態だったら、会計システムに表示される勘定科目を見ても、何を基準に選べばいいのか分からなかったと思います。
簿記2級を持っていたからといって、すべての勘定科目を迷わず判断できたわけではありません。
それでも、「何を考えて判断すればいいのか」という土台があったことは、実務を覚えるうえで大きかったです。
2.会計事務所の担当者の話が何となく理解できた
もう一つ、簿記の知識があって良かったと感じたのが、会計事務所の担当者と話すときです。
経理の仕事をしていると、会計処理や決算について専門的な話をする機会があります。
簿記を勉強していなかったら、おそらく専門用語が出てくるたびに、「何の話をしているのか分からない」という状態になっていたと思います。
もちろん、担当者の話をすべて理解できたわけではありません。
それでも、
「今はこの部分について話しているんだな」
と、何となく全体像をつかむことができました。
これは実務では意外と大きな違いだと思います。
何も分からない状態では、どこを質問すればいいのかも分かりません。
一方で、簿記の基本を知っていれば、「ここまでは分かるけれど、この部分が分からない」という状態に持っていきやすくなります。
分からないことを質問するためにも、最低限の知識があることは役立つと感じました。
3.決算書類の構造や意味が分かるようになった
簿記を勉強していて良かったと特に感じたのが、決算書類を見るときです。
以前の私にとって、決算書は「会社の数字がたくさん並んでいる書類」というくらいの認識でした。
しかし、簿記を勉強した後では、貸借対照表や損益計算書がどのような構造になっているのかが少しずつ分かるようになりました。
例えば、
「会社にはどれくらいの資産があるのか」
「どのくらい利益が出ているのか」
「負債はどの程度あるのか」
といったことを、数字から考えられるようになります。
もちろん、決算書を見れば会社のすべてが分かるわけではありません。
それでも、数字を単なる数字として見るのではなく、「会社の状態を表しているもの」として見ることができるようになったのは、大きな変化でした。
営業時代には、売上や利益について話すことはあっても、会社全体のお金の流れを細かく考える機会はそれほどありませんでした。
簿記を学び、さらに実際の経理業務を経験したことで、会社を見る視点が一つ増えたように感じています。
4.「なぜこの処理をするのか」を考える土台になった
実務では、決められたことをそのまま入力するだけではありません。
「なぜこの処理になるのか」を考えなければならない場面もあります。
そんなときに役立ったのが、簿記で身につけた基本的な考え方でした。
実際の仕事では、教科書に載っているようなきれいな取引ばかりではありません。
会社独自のルールがあったり、過去の処理を確認したり、担当者に聞いたりすることもあります。
だからこそ、簿記の知識だけですべて解決するわけではありません。
ただ、簿記を知っていることで、「なぜこういう処理になるのか」を考えるための土台にはなりました。
5.会社の数字を見る視点が変わった
簿記を学ぶ前と後で、一番変わったのは「会社の数字を見る目」かもしれません。
以前は売上や利益といった数字を見ても、どちらかというと結果として捉えていました。
簿記を勉強した後は、
「この数字は何を意味しているのか」
「なぜこの数字になっているのか」
と考えるようになりました。
経理の仕事を経験した期間は半年ほどでしたが、それまで営業として見ていた会社とは、少し違った角度から会社を見る経験ができました。
営業では顧客や売上を見ることが多かったのですが、経理を経験したことで、会社のお金や数字について考える機会が増えました。
営業時代の経験が事務職でどのように活かされたのかについては、以前の記事でも詳しく書いています。
簿記2級を取っても「教科書通りではない」と感じた
ここは、これから簿記を勉強する方に伝えておきたいところです。
実際に経理の仕事をしてみて、私が強く感じたのは、
「実務は、すべてが簿記の教科書通りではない」
ということでした。
例えば、簿記の勉強ではさまざまな勘定科目が登場します。
ところが実際の会社では、必ずしも教科書に出てくる勘定科目をそのまま採用しているとは限りません。
会社によって使っている勘定科目や処理のルールが違う場合があります。
私自身、
「簿記ではこういう勘定科目だったけれど、実際の会社では違うものを使っているんだ」
と感じることがありました。
他の企業がどのように運用しているのかまでは分かりません。
ただ、少なくとも私が経験した職場では、簿記の知識をそのまま当てはめればすべて解決する、というわけではありませんでした。
資格の勉強をしていると、どうしても「正解は一つ」という感覚になりがちです。
しかし実務では、会社のルールや過去の処理、会計事務所との確認など、いくつかの要素を踏まえて判断する必要があります。
この違いは、実際に仕事をしてみて初めて分かったことでした。
簿記2級を取っても、実務ですぐに仕事ができたわけではない
もう一つ伝えておきたいのが、簿記2級を取得したからといって、経理の仕事がすぐにできるようになったわけではないということです。
実際に仕事を始めると、会計システムの使い方、会社独自のルール、過去の処理、社内手続きなど、簿記とは別に覚えなければならないことがたくさんありました。
私自身、簿記2級を持っていたことで「経理の仕事もすぐにできるだろう」と考えていたわけではありません。
それでも、実務に入ってみて、資格で得た知識と実際の仕事には違いがあることを改めて感じました。
ただ、それでも簿記を勉強していたことが無駄だったとは思いません。
むしろ、知識がゼロの状態から始めるのと、基本的な仕組みを知った状態から始めるのでは、仕事を理解するための土台が違うと感じました。
これから簿記2級を取ろうとしている人へ
私自身の簿記2級の勉強は、市販の問題集とYouTubeの動画を使った独学でした。
特別な勉強法を実践したわけではありません。
そのため、ここで特定の教材や通信講座を「おすすめ」として紹介するつもりはありません。
これから簿記2級を目指すのであれば、資格試験の問題を解けるようになることだけでなく、
「この知識が実際の仕事ではどう使われるのだろう」
と考えながら勉強してみるのも良いと思います。
資格取得がゴールではなく、その先にある仕事を少しイメージしておく。
それだけでも、勉強に対する見方が変わるかもしれません。
まとめ
私が実際に経理の仕事を経験して、簿記2級が役立ったと感じたのは、
- 会計システムへの入力で勘定科目を考えやすかった
- 会計事務所の担当者の話を理解しやすかった
- 決算書類の構造や意味が分かった
- 会計処理について「なぜ?」と考える土台になった
- 会社の数字を見る視点が変わった
という点です。
一方で、実務では教科書通りにならないこともあり、会社独自の勘定科目や処理方法があることも経験しました。
簿記2級を持っているからといって、経理の仕事がすぐにできるわけではありません。
それでも、未経験から事務職や経理の仕事に挑戦するのであれば、簿記の知識は仕事を理解するための一つの土台になると思います。
私自身、30代後半で営業から事務職へ異動しました。
営業から事務職へ異動して感じた仕事の違いについては、こちらの記事でもまとめています。
【営業から事務職へ異動して感じたギャップ7つ|実際に働いて分かった違い】
それまでの営業経験が無駄になったわけでもなければ、新しく取得した簿記2級も無駄にはなりませんでした。
これまでの経験に、新しい知識を一つ加える。
30代後半からのキャリアチェンジでは、そうやって少しずつ自分のできることを増やしていくことも、一つの方法なのだと思っています。


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