「簿記2級を取れば、未経験でも経理の仕事ができるのだろうか。」
30代後半で営業から別の仕事へのキャリアチェンジを考えていた頃、私はそんなことを考えていました。
実際に簿記2級を取得し、その後、社内異動で経理を担当することになりました。
勉強した知識を使って仕事ができる。
最初はそんなイメージを持っていました。
ところが、実際に経理の仕事を始めてみると、簿記の勉強と実務には思っていた以上に違いがありました。
今回は、簿記2級を取得してから未経験で経理を経験した私が、「資格を取ったらすぐ仕事ができるのか」という点について、実際に感じたギャップを書いてみます。
【簿記2級の知識は、確かに役に立った】
最初に言っておくと、簿記2級を取ったことは無駄ではありませんでした。
むしろ、経理の仕事を始めるうえで助けられた部分はかなりありました。
たとえば、会計システムに入力するとき。
勘定科目を見ても、「これは何のための科目なのか」「どのような処理になるのか」といったことを考える土台がありました。
もちろん、最初から何でも分かったわけではありません。
それでも、簿記をまったく知らない状態で始めるのとは違ったと思います。
また、税理士事務所の担当者から説明を受けるときも、簿記の知識があることで話についていきやすい場面がありました。
以前なら意味が分からなかった言葉でも、
「これは簿記で勉強した内容に近いな」
と考えられる。
これは実務に入ってから実感した、簿記2級を取っておいて良かったと思う部分です。
【でも、実務は教科書どおりではなかった】
一方で、仕事を始めて最初に感じたのが、
「勉強した簿記と、実際の会社の経理は同じではない」
ということでした。
簿記の問題では、基本的に与えられた条件の中から正しい処理を考えます。
ところが、実際の会社には、その会社なりのやり方があります。
会計システムの使い方もありますし、過去から続いている処理もあります。
勘定科目についても、教科書で見ていたものと実際に会社で使っているものが完全に同じとは限りません。
「簿記ではこうだったから、こうすればいい」
だけでは判断できないこともありました。
簿記2級を取得したことで、経理のスタートラインには立てた。
でも、それだけで実務ができるわけではない。
実際に働いてみて、そう感じました。
【一番困ったのは「何が分からないのか分からない」こと】
経理未経験だった私にとって、知識以上に大変だったのが、仕事の全体像が分からないことでした。
これは以前、事務職へ異動したときにも感じたことです。
目の前の作業については教えてもらえる。
でも、
「なぜこの処理をするのか」
「この後は誰が何をするのか」
「この数字は最終的にどこにつながるのか」
までは、最初から分かりません。
簿記を勉強していたので、言葉の意味や仕訳の考え方は多少分かります。
それでも、実際の会社の業務になると、別の知識が必要でした。
社内のルール、過去の処理、締め日、支払いの流れ、税理士事務所とのやり取りなど。
一つひとつ覚えていくしかありませんでした。
「簿記2級を持っているのだから、もっとできるはず」
と思っていた分、最初は戸惑ったことも覚えています。
【資格よりも「会社の仕事」を覚える必要があった】
経理の仕事を始めてからは、簿記の勉強とは別に、会社の仕事そのものを覚えていきました。
どの資料を見ればいいのか。
過去のデータはどこにあるのか。
この処理をするときは、誰に確認するのか。
いつまでに終わらせなければならないのか。
こうしたことは、簿記のテキストには載っていません。
結局、共有パソコンにある過去のファイルを確認したり、記録として残っている資料を見たりしながら、一つずつ覚えていきました。
分からないことを調べる。
過去の処理を見る。
それでも分からなければ確認する。
そんな繰り返しでした。
振り返ってみると、簿記の知識以上に、「会社の中で仕事がどう動いているのか」を理解することのほうが大きな課題だったと思います。
【それでも簿記2級を取った意味はあった】
では、結局のところ、簿記2級を取れば未経験でも経理の仕事ができるのでしょうか。
私自身の経験だけで言えば、
「簿記2級だけですぐに経理の仕事ができるわけではない。でも、未経験から経理を始めるための土台にはなった」
という答えになります。
実務では、簿記以外にも覚えることがたくさんあります。
会社独自のルールもありますし、実際の処理には過去からの経緯もあります。
だから、資格を取ったからといって「これで全部できる」と思ってしまうと、実際に仕事を始めたときにギャップを感じるかもしれません。
一方で、簿記を勉強していたからこそ、仕事の内容を理解するための土台がありました。
実際に経理を経験して、簿記2級の知識がどのように役立ったのかについては、以前の記事でも詳しく書いています。
【資格を取ったら、そこからがスタートだった】
簿記2級を取得したときは、少し達成感がありました。
学生時代にはあまり好きではなかった簿記を、30代後半になってもう一度勉強するとは思っていませんでした。
そして、その資格をきっかけの一つとして経理への異動を希望し、実際に経理の仕事を経験することになりました。
ただ、仕事を始めて分かったのは、資格を取ったら終わりではないということです。
むしろ、資格を取ったところから、実際の仕事を覚える段階が始まりました。
これは経理に限った話ではないと思います。
資格や経験が新しい仕事への入り口になることはあっても、実際に働き始めれば、そこから覚えることはたくさんあります。
私も最初からうまくできたわけではありません。
分からないことを調べて、過去の資料を見て、時には周りに確認しながら、一つずつ仕事を覚えていきました。
30代後半でのキャリアチェンジは、決して簡単ではありませんでした。
それでも、あのとき簿記を学び直していなければ、経理という仕事を具体的な選択肢として考えることもなかったと思います。
だから今振り返ると、簿記2級は「経理の仕事ができることを証明する資格」というより、自分のキャリアの選択肢を一つ増やしてくれたものだったのだと思います。


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