営業の仕事がつらくなってくると、「事務職に変われば、もう少し落ち着いて働けるのではないか」と考えることがあります。
私自身、30代後半で営業から事務職へ異動しました。
営業を10年以上続けてきたので、異動が決まったときには「これで営業から離れられる」という気持ちがありました。
実際、営業時代に比べて楽になったと感じる部分はあります。
ただ、事務職に変わったからといって、仕事そのものが楽になったわけではありませんでした。
むしろ、営業とは違う種類の大変さもありました。
今回は、営業から事務職へ異動して実際に働いてみて感じたことを、5つに分けて書きます。
1.営業ノルマや顧客対応からは離れられた
まず、一番大きく変わったのはここです。
営業時代は、当然ですが売上を意識しながら仕事をしていました。
数字が足りなければ焦りますし、お客様から急な依頼や厳しい要望を受けることもあります。
予定していた仕事をしていても、お客様から電話が入ればそちらを優先しなければならないこともありました。
事務職へ異動してからは、そうした営業特有のプレッシャーからは離れることができました。
少なくとも私の場合、営業時代のように「今月の数字は大丈夫だろうか」と考えながら仕事をすることはなくなりました。
お客様からの電話に追われることも減りました。
その意味では、かなり気持ちは楽になりました。
2.その代わり「間違えられない」というプレッシャーがある
一方で、事務職には事務職のプレッシャーがあります。
私が最初に担当したのは経理でした。
前任者が突然退職したこともあり、十分な引き継ぎがない状態で仕事を覚えることになりました。
支払いや入出金、会計処理など、お金に関係する仕事もあります。
営業のように「今日の売上を作らなければ」というプレッシャーとは違いますが、
「この処理で間違っていないだろうか」
という不安がありました。
特に未経験だったので、最初は何が正しいのかすら分からないことがあります。
営業時代なら、その場で判断して動くことも多かったのですが、事務職では一度処理してしまうと後から修正が必要になることもあります。
そのため、確認してから進めることをかなり意識するようになりました。
事務職は「営業より楽」というより、プレッシャーの種類が変わったという感覚のほうが近いです。
3.自分のペースで仕事を進めやすくなった
これは私が事務職へ移って良かったと感じている部分です。
営業時代は、お客様や社内の予定に合わせて動くことが多く、自分だけでは仕事の順番を決められないこともありました。
事務職になってからは、もちろん急な依頼もありますが、自分で優先順位を考えながら仕事を進める場面が増えました。
また、私の職場では営業時代ほど残業が多くありません。
基本的には定時に帰れる日も多く、仕事が終わった後の時間を確保しやすくなりました。
これは、私にとってかなり大きな変化でした。
ただし、「事務職なら必ず定時で帰れる」という意味ではありません。
会社や部署、時期によって忙しさはかなり違います。
総務の場合は、急な社内対応や行政関係の手続きなどが入ることもあります。
そのため、ここも「事務職だから楽」と単純には言えないところです。
4.「分からないこと」が思っていた以上に多かった
事務職へ異動して、最初に強く感じたことの一つです。
未経験で事務職に入ると、仕事の内容だけではなく、
「そもそも何を知らないのか分からない」
という状態になることがあります。
私の場合、前任者がいない状態で仕事を引き継いだため、過去の資料や共有パソコンのファイルを確認しながら仕事を覚えていきました。
営業時代なら、商品知識やお客様について調べれば対応できることもありました。
しかし、事務職では会社独自のルールや過去の処理方法、法律・制度など、覚える範囲が広く感じました。
「こんなことまで事務の仕事なのか」と思うこともありました。
ただ、そこで一つずつ調べていくうちに、少しずつ仕事の全体像が見えるようになりました。
未経験で事務職に移るなら、最初から全部できる必要はないと思います。
分からないことを調べて、確認して、少しずつ覚えていく。
私自身、それを繰り返すことで何とか仕事を続けてきました。
5.営業経験は意外と無駄にならなかった
事務職へ異動するとき、私は「これまで営業でやってきたことが全部リセットされるのではないか」と思っていました。
実際、経理や総務の専門知識はほとんどありませんでした。
それでも、仕事をしていく中で営業経験が役立つ場面がありました。
例えば、人の話を聞いて何を求めているのか整理すること。
相手によって説明の仕方を変えること。
期限を意識して仕事を進めること。
分からないことをそのままにせず、確認すること。
こうしたことは、営業時代に身につけた部分です。
特に総務では、社内のいろいろな人から相談を受けます。
「何を聞かれているのか」を整理し、必要なことを調べて答える。
これは営業時代のお客様対応と少し似ています。
営業と事務は全く違う仕事だと思っていましたが、実際に異動してみると、共通する部分もありました。
以前書いたように、私は営業の10年が無駄だったとは思っていません。
むしろ、営業で身につけた力が、事務職で別の形で使えることを実感しました。
事務職に変われば「楽」になるとは限らない
営業から事務職へ異動して感じたことをまとめると、
- 営業ノルマや顧客対応からは離れられた
- その代わり、ミスが許されない仕事のプレッシャーがある
- 自分で仕事の順番を考えやすくなった
- 未経験だからこその「分からないことが分からない」状態があった
- 営業時代の経験も意外と役立った
という5つになります。
私自身は、営業を離れたことで以前より働きやすくなったと感じています。
ただ、それは「事務職のほうが楽な仕事だから」ということではありません。
営業には営業の大変さがあり、事務には事務の大変さがあります。
大切なのは、どちらが楽かではなく、自分がどんな働き方をしたいのかを考えることなのだと思います。
私の場合は、30代後半になって「このまま営業を続けていくのか」と考えたことが、キャリアを見直すきっかけになりました。
その後、簿記2級を取得し、社内異動を希望して、実際に事務の仕事を経験することになりました。
もちろん、すべてが思い通りだったわけではありません。
それでも、あのとき動いていなければ、今の仕事を経験することもなかったと思います。
もし今、営業から事務職への転職や異動を考えているなら、「事務職なら楽そう」とだけ考えるのではなく、
「自分は何から離れたいのか」
「どんな仕事なら今より長く続けられそうなのか」
を一度考えてみるといいかもしれません。
私自身も、30代後半になってからの異動でした。
遅すぎたとは思っていません。
これまで積み上げてきた経験を全部捨てるのではなく、別の仕事で活かす方法もあります。


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